あらすじ
「星織りの才無き無能は、この神殿から追放する」
大神官の宣告と、婚約者ユリウスからの一方的な婚約破棄。聖女候補リィナに寄り添われた彼の前で、令嬢ステラ・ヴェルフィードは静かに神殿を後にした。取り乱すことも、涙もない。なぜなら彼女は知っていたから――神殿の誰一人として、『古の織り機』の本当の動かし方を知らないのだと。
「才能がないんじゃないの。あんたたちが、機械の使い方を根本から間違えてるだけ」
ステラには前世の記憶があった。かつて大阪で織物工房を切り盛りしていた頃の知識が。祈りで動くと信じられてきた星辰機――その正体は、繊維工学と張力計算で動かす『機械』にすぎなかった。
無一文で辿り着いた辺境の宿屋。豪快な女将ミラとの出会い。そして廃鉱山の奥に眠る、もう一台の朽ちた織り機。
「――さあ。動かしてさしあげますわ」
経糸を張り直し、星の魔力を緯糸に通す。カタン、カタン――世界最後の織り機が、再び目を覚ます。
無能と蔑まれた令嬢は、実は世界でただ一人『星を織る者』だった。前世の知識で運命を織り直す、痛快スローライフ・ファンタジー開幕!
「あなたたちが本当に困るのは、これからですのよ」