あらすじ
雄大な山脈に抱かれた大地。
果てしなく続く深い森と、風に波打つ広大な平原。その狭間に、多くの冒険者が集う賑やかな都市がある。
冒険者の街――レクリコス。
古くから冒険者たちとともに栄えてきたこの街に、一軒の宿屋があった。
その名は、冒険者の宿屋アーポット亭。
かつて伝説と呼ばれた冒険者夫婦が開き、今はその息子へと受け継がれた宿である。
ここで働く者たちは、ただの宿屋の主人や使用人ではない。
いずれも、数々の修羅場をくぐり抜けてきた凄腕の冒険者たちだった。
### レックス・アーポット
冒険者の宿屋アーポット亭のオーナー。
伝説的な冒険者夫婦の息子であり、自身も卓越した腕を持つ剣士。普段は気さくでどこか気の抜けた男だが、ひとたび剣を抜けば、その実力を知る者は誰もが息を呑む。
### クリス・ロールブレア
冒険者の宿屋アーポット亭の支配人。
ロールブレア王国の王子であり、レックスの従兄弟。宿の仕事を取り仕切る一方、光魔法を操る優秀な魔術師でもある。
### ミアラ・リード
冒険者の宿屋アーポット亭の楽士兼雑用係。
小柄なホビットの吟遊詩人。さまざまな楽器を自在に操ることができるが、歌だけは壊滅的に音痴。
### セドウィック・セラム
冒険者の宿屋アーポット亭の医師。
精霊術と剣術の双方に秀でたエルフ。豊富な知識と穏やかな人柄を持ち、レックスの良き相談役でもある。
### ワードック・ドック
冒険者の宿屋アーポット亭の料理人。
片腕を失ったドワーフの戦士。かつては《狂犬》の異名で恐れられた、伝説的な傭兵である。
### リーア・アーポット
冒険者の宿屋アーポット亭の女将。
レックスの妻であり、酒好きのトラブルメーカー。明るく奔放に振る舞っているが、その正体は、かつて裏社会で恐れられたエルーデ暗殺術の継承者。
これは、アーポット亭を訪れる運命に翻弄された人々と、彼らに手を差し伸べる六人の冒険者たちの物語。
剣と魔法と、笑いと騒動。
そして、数々の出会いが待つ――冒険者の宿屋の物語である。