あらすじ

応仁の乱の余燼がくすぶる南山城。田畑は焼かれ、年貢は奪われ、土地に生きる武士も農民も疲弊しきっていた。そんな混乱のただ中で、興福寺の若き僧の尋栄は、馬借の弥助、地侍の義三郎と出会う。身分も立場も違う三人だったが、「この地を守りたい」という想いだけは同じだった。やがて三人は、南山城の国人・農民・商人・馬借を結集した前代未聞の「山城国一揆」のために奔走する。宇治・平等院に三千人が集い、守護の畠山両軍に退陣を迫る評定は、まるで歴史が動く瞬間そのものだった。一揆は成功し、南山城は惣国(自治共和国)として自治を始める。だが、時代の流れは残酷だった。利害の亀裂、守護の復帰、そして惣国の崩壊――。義三郎は武士の大義を貫くため稲矢妻城に籠城し、弥助は今井町へ移り新しい商いを始め、尋栄は興福寺大乗院で一揆の記録を後世に残す道を選ぶ。数十年後。義三郎の遺児が尋栄を訪れ、「山城国一揆の記録を見たい」と願い出る。三人の若者が命を賭して守ろうとした自治の精神は、時を越え、次の世代へと静かに受け継がれていく――。

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エブリスタ2026/07/14
  • 現在の作品我ら泡沫にあらず(山城国一揆)