あらすじ

大晦日の夜、家族がそろうはずの日。
 母から罵倒の電話がかかってきた。
 外で凍えながらカップ麺を食べてでも、家に帰って年を越したくないのか、と。
 理由は、母が私に買ってきたブレスレットを、私がつけたくなかったからなのか。
 私は淡々と答えた。
「そう。そのブレスレットのせいだよ」
 そのあと、電話ごと母をブロックした。
 母が私に買ってきたのは、子ども用のGPSブレスレットだった。
 女の子が外で大学に通うのは危ないから、という理由で、母はそれを私につけさせた。
 十分ごとに位置情報を送ること。
 毎晩十時にはビデオ通話で寝室確認をすること。
 一度でも返信が遅れれば、母は輔導員に電話し、私が外で体を売っていると言った。
 私がシャワーを浴びるためにブレスレットを外すと、母は学校まで押しかけ、寮の部屋で全員の前で私を恥知らずだと罵った。
 本来なら、私は泣きながら説明して、信じてほしいと頼むべきだったのかもしれない。
 けれどあの日、母が私をトイレに閉じ込め、男とホテルに行ったと認めろと迫った瞬間、私はもう説明したくなくなった。
 電話をブロックしたあと、これで終わりではないと分かっていた。
 私は母が三年間録音してきた監視、脅し、罵倒を、すべてファイルにまとめた。
 案の定、その後、母は私の会社のビルの下に来て、跪いて泣いた。
 私が親不孝だと。
 私は全員の前で、再生ボタンを押した。
 最初に流れたのは、母自身の声だった。
「言うことを聞かないなら、あんたを潰してやる」

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アルファポリス
アルファポリス2026/07/14
  • 現在の作品母が大学に電話した。「娘は外で体を売っています」と――二十歳の私にGPS腕輪をつけた毒親の末路