あらすじ
異世界へ転生した図書館司書・ミナトが最初に見つけたのは、三つの過去を持つ少年だった。
ある勇者の物語では、故郷を焼かれた哀れな少年。
別の勇者の物語では、仲間を裏切る密偵。
そして三つ目では、今日処刑される「魔王の器」。
この世界には、現代日本から来た勇者が百人いる。
勇者たちは追放から成り上がり、悪役令嬢は破滅を避け、聖女は死者さえ救う。けれど一つの物語が大団円を迎えるたび、役目を終えた誰かが記録から消えていた。
戦う力を持たないミナトの武器は、司書として培った記録照合と、人物に割り当てられた過去の所在を探す《索引》だけ。
「あなたを新しい物語の主人公にはしません。ただ、誰かの脇役でなくても生きられる場所を作ります」
やがて彼女は、物語から捨てられた人々を守る《端役院》を設立する。
これは勇者を倒す物語ではない。世界に役を決められた人々が、自分の明日を選び直す物語。