あらすじ
画面越しのゲームの世界で出会い、距離を超えて心を通わせた蓮(れん)と陽菜(ひな)。「この人となら」という確信のままに結ばれた二人は、ささやかで幸せな新婚生活を送っていた。
しかし結婚して数年後、陽菜を突然の「うつ病」が襲う。理由のない不安と涙に溺れ、布団から出られなくなった陽菜は、「迷惑ばかりかけてごめんね」と自分を責める日々。そんな彼女に、蓮は「生きてくれてるだけでいい」と告げ、静かに寄り添い続ける。
生活の余裕は消え、苦しい日々が続く中、蓮は朝のカーテンを少しだけ開け、夕方には短い散歩に誘うなど、陽菜の歩幅に合わせた小さな日常を守り抜く。
「また、笑える日が来ると思う?」
絶望のどん底で漏らした陽菜の問いに、蓮が返した優しい言葉。その瞬間、二人の間に灯ったかすかな微笑みは、長く暗い冬の終わりを告げる、確かな春の気配だった――。
大きな幸せではなく、ただ隣にいるあなたと笑い合えること。それだけで生きていけると知った夫婦の、切なくも温かい愛の軌跡。