あらすじ
過労死した携帯ショップ店員・早瀬涼(29)が目を覚ましたのは、転生者が「宝人(ほうじん)」と呼ばれ、鑑定され、競売にかけられ、リースされる世界だった。
チート持ちの転生者は一人残らず教会が「保護」し、貴族と商会が値札を付けて飼う。隷属契約の解約には、庶民の生涯収入級の違約金。つまり、誰も自由になれない。
だが涼には転生者の証〈前世紋〉がなかった。
「無価値」と放逐された男は、やがて気づく。
——俺だけが、この世界のあらゆる契約を、違約金ゼロで《解約》できる。
条件は三つ。本人が心から望むこと。契約書を読み上げられること。そして、触れること。
元・解約引き止め担当、約款を読む速さだけは地区一番。
処分寸前の発火チートの少年を皮切りに、涼は今日も誰かの首輪を外す。解約された宝人たちが自分の意思で集まって、気づけば「誰にも飼われない商会」が出来上がっていた。
「その契約、本日づけで解約とさせていただきます」
これは、人に値札を付ける世界を、一枚の契約書から畳んでいく男の話。