あらすじ
四十二歳、低ランクダンジョン探索者・原田源三。
剣も魔法も弱い。金も人望もない。あるのは口先のうまさと、面倒事から逃げる速さだけ。
そんな源三の前に、本人にしか見えない赤いボタンが現れた。
押せば、世界が止まる。
何もない白い空間で、好きなだけ考えたあと、押した瞬間へ戻ることができる。
最初の待ち時間は、一秒。
次は三秒。十秒。三十秒。
押すたびに、白い空間で過ごす時間は伸びていく。
しかも、その間の記憶は消えない。
どれほど長く考えても、知らない知識は増えない。剣の腕も、魔法の才能も手に入らない。
だから源三は、自分より賢い者に聞いた。
自分より強い者に戦わせた。
自分より働く者へ、仕事も権限も押しつけた。
ただ死にたくない。
知っている顔を、見捨てたくない。
その程度の理由で逃げ続けた結果、源三の周囲には英雄、技術者、兵士、避難民が集まり始める。
一方、崩壊していく日本では、最年少の特級探索者・黒瀬迅が、圧倒的な力と理想を掲げて東京を目指していた。
自ら天下を取りにいく天才。
天下など欲しくないのに、周囲から担ぎ上げられていくおっさん。
やがて二人は、それぞれの旗の下で国を動かすことになる。
これは、戦えない底辺探索者が、誰よりも長く考え、誰よりも多くの人間を動かして、天下を取るまでの物語。
あと499,999,999年。
頑張れ、俺。