あらすじ
雨の放課後、バス停で傘もなく立ち尽くす同級生に、彼はそっと折り畳み傘を差し出した——ただ、それだけのはずだった。
内気で、人と関わることを避けてきた高校一年生・早坂蒼太。"美人すぎて近寄りがたい"と噂され、その実、冷えきった家庭にひとり傷を抱える赤澤菜津美。接点のなかった二人は、一本の傘をきっかけに言葉を交わし——やがて、同じマンションの隣室同士だと知る。
壁一枚を隔てた隣人として。学校では他人のふりをしながら。二人は少しずつ、けれど確かに、距離を縮めていく。
淡い初恋の始まりから、やがて訪れる進学、自立、そして人生のその先まで。「そばにいることは、当たり前じゃない。何度でも選び取るものなんだ」——臆病だったふたりが、互いの隣を選び続けていく、長い長い物語。