あらすじ
「私と一緒に、皇帝を玉座から引きずり下ろさない?」
帝国で唯一の皇女ユースティアは、女に生まれたというだけで父帝に疎まれ、母にも憎まれ、荒れ果てた離宮でひっそりと暮らしていた。
まともな教育も与えられず、城の外へ出ることさえ許されない日々。
そんな彼女が戦勝祝賀会で出会ったのは、祖国を滅ぼされ、戦利品として鎖に繋がれた青年エルネストだった。
誰もが彼を見世物として笑う中、ユースティアだけが皇帝へ逆らい、その命を救う。
「あなたの名前を、教えてくれる?」
すべてを失い、生きることさえ諦めていたエルネストは、もう一度自分の名を呼んでくれた少女へ、静かに忠誠を誓った。
冷たい離宮で食卓を囲み、言葉を交わし、少しずつ心を通わせていく二人。
やがてユースティアは、兄レニスをはじめ、炎の魔術師、平民の仕立て師、商人、騎士と出会い、これまで知らなかった城の外の世界を知っていく。
飢えに苦しむ民。
戦へ送られる若者。身分や性別によって未来を奪われる人々。そして、帝国の繁栄の裏に隠された多くの犠牲。
一度知ってしまった痛みを、もう見なかったことにはできない。
ただ一度、城の外へ出たいと願っていた皇女は、やがて誰もが自らの人生を選べる国を夢見るようになる。
これは、誰にも望まれなかった一人の皇女が、かけがえのない人々と出会い、自らの運命と帝国の未来を選び取っていく物語。