あらすじ
ある晴れた日の午後。緩やかな丘の上に建つ、ほどほどの大きさの一軒家。
窓からは柔らかな陽光が差し込み、白いカーテンが風にそってかすかに揺れていた。外では鳥たちがさえずり、時おり空を横切る影が窓辺を静かに過ぎていった。
老人はまぶたを小さく持ち上げ、ベッドに横たわったままその影をぼんやりと追っていた。窓から入り込む風が乾いた手の甲をそっと撫でるたびに、遠い昔の記憶が胸の奥でかすかに揺れ、懐かしさだけが込み上げてくる。
と、そこへ控えめなノックの音が響いた。
「父さん? 入るよ」
「……おお」
老人が返事をして間もなく、ドアが静かに開き、一人の青年が部屋に入ってきた。
青年は穏やかな笑みを浮かべ、ベッドの脇まで歩み寄った。