あらすじ
「冒険とは命がけのロマン! 根性と気合いだ!」
そんな前世紀の精神論を掲げる国内最大手ギルド『サウザンド・レイズ』。
そこで働くデータアナリストの黒野怜司(クロノ・レイジ)は、あまりの労働環境の劣悪さに「週休二日・安全第一」の改善案を提出した結果、老害総帥から「戦えない無能」「根性なし」と理不尽に即日解雇されてしまう。
しかし、老害たちは知らなかった。
レイジの持つ固有スキル【魔力構造可視化《スプレッドシート》】が、ダンジョンの魔力循環をログデータとして扱い、数式で最適化できるチートスキルだということを。
使い捨てにされる若者たちのデータ(死亡率12%)を見て愛想を尽かしたレイジは、国が管理を諦めかけていた万年赤字の超危険ダンジョンの最高執行責任者(CEO)に就任する。
レイジが最初に行ったのは、武器を持つことではなかった。
──ダンジョンの入り口にノートPCを設置し、魔力の淀みを解析すること。
「通路の角度を3度変更。ここに風の魔石を設置」
ただそれだけで、無限湧きする凶悪な魔物たちが勝手に滑り台を転がり落ち、設置した自動回転刃でミンチになり、ベルトコンベアで素材が流れてくる『全自動素材回収ラインver1.0』が完成してしまい……!?
「は? 俺たち何もしてないのに、日当がいつもの3倍あるんだけど……?」
地獄の現場だったダンジョンは、Wi-Fi・エアコン・サウナ完備、魔物の湧き周期が完全に予測された超ホワイト国営ダンジョンへと変貌していく。
一方で、優秀なデータアナリストを失ったブラックギルドは、予測の狂いと人手不足で大赤字。焦った総帥がレイジのオフィスに怒鳴り込んでくるが──
「あなたが言っているのは『精神論という名のコストカット』です。感情ではなく、データを出してください」
命をかけるなんて非効率。
これは、冷徹なデータ男がダンジョンをDX(デジタルトランスフォーメーション)し、定時退勤しながら業界トップへ上り詰める、圧倒的ロジック無双ファンタジー!