あらすじ

校正者の沙月は、事実に照らして裏の取れない記述を許さない。仕事でも私生活でも、曖昧な感情を「正誤」のフィルターで裁き、猫の灰次の行動さえもSNS向けに「翻訳」して消費していた。  しかし、ある自費出版の原稿に記された「犬がありがとうと言った」という一文が、彼女の規律を揺さぶり始める。  人生の節目で直面するのは、どれほど言葉を尽くしても翻訳できない「空白」だった。事実としては証明できないが、確かにそこにある救い。沙月は、他者の、そして自分自身の「確かめようのない物語」を消去せずに生かす道を探し始める。  これは、完璧な正解を求めることを手放し、不確かな愛と共に生きることを決めた女性の、再生と受容の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/07/14
  • 現在の作品【短編小説】赤鉛筆と灰色の猫 ~翻訳できない温かな重み~