あらすじ
永禄三年。関東一円を従えんとする相模の覇者・北条氏は、奥多摩を領する名門国衆・三田氏へ「検地」を迫る。それは先祖代々守ってきた山と川を、小田原の首輪に繋ぐことを意味していた。
「山のことは、山の者が決める」
三田弾正少弼綱秀は、従属を拒み、越後の龍・長尾景虎(上杉謙信)の「白旗」の下へと馳せ参じる。一時は十万の大軍で小田原城を包囲し、勝利を確信した綱秀。しかし、戦国の非情な現実が、三田家を広大な北条の「赤旗」の海へと孤立させていく――。
知将・北条氏照の猛攻、牙を剥く天然の要害・辛垣城。飢えと渇き、そして身内の裏切りが迫るなか、綱秀と重臣・師岡将監は、己の「義」と「誇り」を懸けた最後の戦いに挑む。
激動の戦国武蔵を舞台に、歴史の狭間に埋もれた国衆の意地を描く、痛快にして切ない歴史軍記ロマン。