あらすじ
魔術の才が、国民の全てを決める国、ガラドシア。
そこで“芽無し”と蔑まれていた第四王子マリウスは、十五歳の節目に行われる儀式で、魔法を発現できなかったことで追放され、その姓と立場を王家から剥奪される。
だが、そんな彼が、全てを失ったその時――
彼の中で“異質な力”が目覚める。
それは、人の持つ魔法を、根こそぎ奪い取る力。
この世界の常識では、決して測れない強大な力だった。
持たざる者だと思われていた少年は、誰よりも異質で、誰よりも危うい力を持っていた。
そして彼は、奪われたものを取り戻すために、再び王国へと舞い戻る。
大切な人を、尊厳を、居場所を、そして自身の運命さえも取り戻すために。
強さとは何か。
正しさとは何か。
才なき者に価値はないのか。
奪う力を持つ者は、悪として生きることしかできないのか。
これは、世界の理に抗う少年の物語。
選ばれなかった者が、世界の定義を丸ごと書き換える物語。
後に“魔王”と呼ばれる男が紡ぐ、全てを覆すための物語。
彼は持たざる者などではなかった。
ただ、世界に選ばれなかっただけなのだ。