あらすじ
この物語は、ある一人の青年の旅の記録である。
生まれながらにして病弱な体を抱え、貧しさの中で育ち、大切な人を失い、それでも「生きたい」と願い続けた青年――神代零。
彼はある夜、見知らぬ世界で目を覚ます。
そこには、彼の知らない言葉があり、知らない獣がいて、知らない力があった。そして何より、彼自身の中にも、彼自身がまだ知らない「何か」が眠っていた。
これは、弱さの物語ではない。
世界最弱と嘲笑われた少年が、幾多の苦しみや痛みと向き合いながら、少しずつ、確かに前へと歩みを進めていく物語である。
彼が旅するのは、ただの異国の地ではない。文化も、言葉も、信仰も異なる、広大でままならない世界そのものだ。その道中には、心強い仲間との出会いがあり、譲れない信念を持つライバルとの邂逅があり、そして――得体の知れない、静かな悪意を持つ何かの影がある。
読者の皆様には、零と共に、この長い旅路を歩んでいただきたい。
彼が何を失い、何を得て、そして最後に何を見出すのか。
その答えは、まだ誰も――零自身さえも、知らない。
どうか、最後まで見届けていただければ幸いである。
「どんな状態でも、命には価値がある。」
その言葉の本当の意味を、この物語の果てで、共に見つけられることを願って。