あらすじ

布は、着た人を覚えている。どんなに澄まして着飾っても、脇の縫い目ひとつが、その人の隠したいものを全部白状してしまうのだ。 没落したファルネ子爵家の針子令嬢エレナは、毎晩の運針と千の覚え書きで、王家御用の礼装を縫ってきた。なのに婚約者のヴァルム侯爵嫡男は「貧乏くさい針子風情を妻にできるか」と衆目の前で破談を告げ、御用の座まで取り上げる。まあ、いいですわ。裁縫箱ひとつで屋敷を出たエレナを拾ったのは、隣国から来た寡黙な目利きの男、テオだった。 折しも国を挙げての大事――隣国ロヴァス王女ソフィアの輿入れ。だが仕立て直された花嫁衣装を一目見て、エレナは気づいてしまう。この寸法は、わたくしが采寸したあの方のものではない、と。『この花嫁は、偽物ですわ』。 彼女を切り捨てた侯爵家が、諸国の前で恥をかく。針一本で国を救った令嬢を、テオはもう手放す気がない――甘くて痛快な、溺愛ざまぁ短編。

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小説を読もう2026/07/13
  • 現在の作品『貧乏くさい針子風情』と破談にされた令嬢——彼女の縫わなかった花嫁衣装で、隣国王女の輿入れは国際問題になった