あらすじ
子爵令嬢アメリには、生まれつき人並外れた舌がある。
ワインを一口で産地と年まで当て、料理に入った隠し味を全部言い当て、高級店の看板料理に「昨日の魚ですね」と気づいてしまう。悪気はない。本当に、悪気はないのだけれど――「お前と食事をすると不味くなる」と、婚約者には破棄を言い渡された。
傷心のアメリを拾ったのは、王宮尚膳局。配属は毒見役。誰もやりたがらない地味で危険な役目は、しかし彼女にとって天職だった。だって毒見役は、料理の粗を口に出しても、怒られないどころか感謝されるのだ。
やがて彼女は、命を三度狙われたという若き宰相補佐、ヴァレン公爵の専属毒見役に任じられる。無表情で、食事に何の関心もなく、出されたものを燃料のように詰め込むだけの公爵様。
その人の皿を、毎日同じ舌で守り続けた一年の、これは記録と恋のお話。