あらすじ
王都で居場所を失った青年カイが任されたのは、辺境の旧街道沿いにある廃宿《灯り木亭》だった。
客はいない。
部屋は荒れ放題。
食堂には埃が積もり、外灯の火も消えていた。
それでもカイは、宿を掃除し、かまどに火を入れ、夜の旧街道に外灯をともす。
その灯りに導かれて、最初の迷い人が現れた。
雨の中で倒れかけた少女リア。
癒やすことに疲れた聖女。
守る場所を失った騎士。
恐れられてきた魔女。
商会から逃げてきた双子。
居場所をなくした料理人。
彼女たちは傷つき、追われ、役割を失い、それでもどこかで「帰る場所」を求めていた。
カイにできることは多くない。
温かい食事を出すこと。
鍵のかかる部屋を用意すること。
眠れる場所を整えること。
そして、朝になれば「残るか、出ていくか」を本人に選ばせること。
けれど、こぼれ落ちた者たちを受け入れる宿は、やがて追い剥ぎ、神殿、騎士団、商会、行政から目をつけられていく。
それでもカイは、外灯を消さない。
ここは、傷ついた善人たちがもう一度やり直すための宿。
辺境の廃宿から始まる、安心型ハーレム共同体ファンタジー。