あらすじ
古い民家の縁側に1人の老婆が座っている。
「健ちゃん、側にいるの?」
嗄れているがどこか可愛らしさの残る声。それは老婆の声だ。
「いるよ、おばあちゃん。」
少しの拍を置いて、快活な少年の声が応える。
「ああ、いたのね。ごめんね、おばあちゃん、もう目が見えなくて。」
「謝らないでよ。おばあちゃんはもう93歳だよ?色々ガタが来てもおかしくない年齢なんだから。」
少年の少し生意気だけど、根底には親愛の情を感じ取れる言葉に、老婆は朗らかに笑った。
「あらあら!この子ったら。そんなことも言えるようになったのねえ。今は幾つになったんだっけ?」
「もう中学生だよ。来年は受験だ。」
「まあもうそんなに大きくなったの。おばあちゃんの目が見えている時は小学生だったのに…。」
縁側にいるのは確かに老婆1人だった。他にいる…いや、あるものは小さな薄い機械、スマートフォンだ。