あらすじ
あらすじ
【背徳の始まり】
家庭を持つ身でありながら、同じ合唱団に所属する由紀子と不倫関係に陥った誠司。二人の関係は、ラブホテルの暗がりで行われるエネマグラや洗濯挟み、そして赤い蝋燭を用いた激しい倒錯愛へと深まっていく。通常のセックスを超えた肉体の痛みの先で、二人は確かな生の実感と、互いの孤独を埋め合うような濃密な性の快感を共有していた。
【軽薄な男の過ち】
しかし、由紀子との背徳に溺れながらも、誠司の好色の目は合唱団のもう一人の女性・まりこへと向けられる。誠司からのアタックに困惑したまりこは、こともあろうに信頼する由紀子へその事実を相談してしまう。自分が都合のいい玩具として扱われていたのではないかという疑惑と、女としてのプライドを傷つけられた由紀子は、激しい怒りと嫉妬を胸に誠司を激しく問い詰める。
【決定的な決裂】
窮地に追い詰められた誠司は、その場を凌ぎたい一心で「まりこは自分にとって高嶺の花だから色目なんて使っていない」と最悪の言い訳を口にしてしまう。その言葉は由紀子の逆鱗に触れ、二人の関係は修復不可能なまでに崩壊。誠司の必死の謝罪も虚しく、由紀子は嫌悪感を露わにして夜の闇へと去っていった。
【終わりの余韻】
その後、誠司は何度も復縁を迫るものの、由紀子が返したのは冷たく硬い「沈黙」だけだった。それから1年以上が経ち、ようやく執着が薄れかけた今、誠司の胸に残っているのは、痛烈な後悔の念。そして、赤い蝋燭を見るたびに蘇る、あの狂おしくも確かに命が焦げ付いていた日々への切ない郷愁であった。