あらすじ
大学二年生の宇佐美真白は、明るく人懐っこい文芸サークルの新入りであり、身の回りの出来事を何でも創作へ結びつける癖を持っている。
合評会で三年生・久我直人の作品へ率直な感想を述べた真白は、活動後、彼から呼び止められる。
久我は穏やかな言葉で「傷ついた理由」を説明する。真白もすぐに謝る。ところが、謝罪しても、意図を説明しても、友人との約束があると伝えても、話は終わらない。
やがて久我は真白との距離を一方的に縮め、彼女が期待どおりに振る舞わなければ、低く怒った声で責めるようになる。
「俺がどう感じるか、ちゃんと考えて接してよ」
首筋が痺れ、心臓が速くなるほど怖いのに、久我は「怒鳴っていない」「話し合っているだけ」と主張する。
自分が悪いのかもしれない。
そう思いかけた真白だったが、久我から届いた大量のメッセージをきっかけに、サークル内の別の部員たちも、同じような経験を語り始める。
一人では自分の過失に見えたものが、並べた瞬間、彼の手口へと姿を変える。
丁寧な言葉で他人を支配する男と、他人を物語の材料として見てしまう少女。二人の危うい創作者がぶつかる、大学文芸サークル心理劇。