あらすじ

地上を覗くのが好きだった。 高天原(たかまがはら)の宮殿の縁から、毎日。 山が白くなる季節。川が太くなる季節。森が茶色くなる季節。 全部見た。全部——分からなかった。 「降りて、自分で見つけなさい」 祖母アマテラスに三種の神器を渡されて、天を降りた。 剣は光らなかった。 道は境界の神に塞がれていた。 地上は重かった。水が重い。空気が重い。飯がうまい。 夕暮れの丘で——花びらが舞った。 振り返った女と目が合った。名前を聞こうとした。 ——言葉が出なかった。 天の者が地を踏む。 剣で道を開いた男が、花の前では声が出ない。 サルタビコに啖呵を切った口が、コノハナサクヤヒメの前では四つしか言葉が出ない。 「ああ」「二日目だ」「天から来た」「ここに来る」 ——四つ。情けない。 天孫ニニギの一人称で描く、 日本神話最大のラブストーリーと、地に根を張るまでの物語。 古事記・天孫降臨編〜木花之佐久夜毘売編。 日本神話シリーズ第三作。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/07/13
  • 現在の作品天孫降臨 天照大御神の孫、邇邇芸が日向に降り立つ