あらすじ

東京五輪の選手村跡地に生まれた巨大住宅街。 そこでは、中国の決済アプリ、違法民泊、無許可送迎、海外法人、不動産投資、政治資金が、見えない一本の帳簿で結ばれていた。 元新聞記者・佐伯遼一は、深夜に現れた中国人旅行者をきっかけに、二十七の住戸と「九龍会」と呼ばれる越境金融網を追い始める。 しかし、事件の構図は単純な「日本人対中国人」ではなかった。 正規の銀行を使えない患者や留学生。 国外へ資産を移したい中国人投資家。 表に出せない円を動かしたい日本企業や政治関係者。 規則を守りたい住民。 差別に傷つきながらも、不正を見過ごせない中国人技術者。 人民元は中国国内で動き、円は日本国内で動く。 国境を越えるのは現金ではなく、債権、名義、信用、そして人間の弱みだった。 誰が所有者で、誰が利益を得て、誰が責任を負うのか。 東京湾岸の一つの街から、グローバル金融システムの暗部と、多文化社会の亀裂を描く社会派金融サスペンス。 **『東京九龍』 それは、外国に奪われた街の物語ではない。 世界の欲望が、すでに東京の内部に存在していたことを知る物語である。**

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/07/13
  • 現在の作品『東京九龍ー見えない国境線』