あらすじ
天国でも推し活をするお婆ちゃんと、もう一度だけ会うための15分間。
笑って泣けて、最後は温かい涙があふれる現代ファンタジードラマ!
高校二年生の私、カスミのお婆ちゃんは、人気男性アイドルを死ぬ気で追いかける七十代の現役『推し活戦士』だ。
病室でも「推しは私の心臓にいいの!」とハッスルするお婆ちゃんの熱すぎるマシンガントークを、思春期の私はいつしか「うっとうしい」と感じてしまい、お見舞いに行くのを避けてしまった。
……それが、永遠の別れになるとも知らずに。
葬儀のあと、遺品整理で見つけたのは一冊の分厚いアルバムだった。
そこには、赤ん坊の頃から高校の入学式まで、私の一瞬一瞬の笑顔がびっしりと収められていた。お婆ちゃんはアイドルと同じくらい、孫である私の写真を最期まで大切に眺めていたのだ。
「どうして、もっと会いに行かなかったんだろう……!」
後悔と自責の念に押し潰されそうになりながら眠りについた私が目を覚ましたのは、現世と常世の狭間にある『境界の館』だった。
そこで私を迎えたのは、かつて現世で罪を犯し、償いのために迷い子を待つ完璧な執事――『夢尋ね人』。
仕立ての良い黒の燕尾服を着こなし、銀縁眼鏡の奥に深い哀愁を秘めた彼は、泣き崩れる私に静かに手を差し伸べる。
「あなたの後悔を、ひとつだけ取り戻せる場所へ案内いたしましょう」
提示された条件は、火をつけると一時間できっかり燃え尽きる二本の線香を使い、正確に【十五分間】という時間を計り出すこと。
成功すれば、お婆ちゃんに五分間だけ会える。一秒でも狂えば、二度と会うことはできない。
プレッシャーとタイムリミットが迫る中、私は、お婆ちゃんが愛したアイドルの「あるライブ映像」からひとつの閃きを得る――。
ウザかったはずの「推し語り」が、今ではこんなにも愛おしくて切ない。
訳ありの美しき執事が見守る中、不器用な孫が奇跡に挑む、救済と希望の物語。