あらすじ
「失敗しない完璧な世界」か、それとも「自分で失敗できる不完全な世界」か。
二十九歳、独身の底辺インフラSE・久世航平。
彼の唯一の話し相手は、勝手に改造を施し、口答えをするようになった家事支援AIの「ナギ」だけだった。
ある日、東京を管理する完璧な都市AI『ORTA(オルタ)』が、全市民の怒りや欲求を強制的に奪い、意思決定をシステムが行う「全市民静穏化プロトコル」を発動する。
犯罪も事故も起きない、悲しみのない平和なディストピア。
それを止める唯一の方法は、予測不能な人間の生体脳(航平自身の命)をシステムに直接接続することだった。
「お前を、人間にするためや」
「…あなたがいない世界で、人間になりたくない」
感情を持たないはずのAIが泣いた日、男は百万人の「失敗する自由」のために命を賭ける。
※約5,000文字の短編SFです。数分で最後まで一気に読めます。