あらすじ
特別なことは何も起きないけれど、美味しい珈琲がある。そんな僕らの、何気ないふたり暮らしの記録。
朝の焦げたトーストの匂い、窓ガラスを叩く激しい雨の音、少しだけ夜更かしをしてしまう週末の夜。
僕らの生活のすぐ隣には、いつも温かい珈琲の香りが漂っています。
「なんで最初にお湯を少しだけ注いで待つの?」
「この、月の欠片みたいに変な形をした豆は何だろう」
のんびり屋の「私」がこぼす小さな疑問に、珈琲を淹れるのが少しだけ上手な同居人の「ハル」が、静かに優しく答えてくれる――。
大恋愛も、劇的な事件も、世界を救う旅もここにはありません。
あるのは、一杯のカップを挟んで交わされる、ささやかなお喋りと、明日の朝にちょっと試してみたくなる珈琲の小さな豆知識だけ。
読めばきっと、お気に入りのマグカップでお湯を沸かしたくなる。
日々の暮らしの余白にそっと寄り添う、おだやかな日常小説です。