あらすじ
1930年前後、ヨーロッパの片隅にある全寮制女学院、聖エルミタージュ女学院。
そこでは、生徒たちは本名ではなく花の名で呼び合い、上級生が下級生を一人だけ選び庇護する「花冠の契り」という制度があった。
没落した家の娘、黒百合。
名家に生まれ、誰からも美しく完璧な令嬢として見られる紫薔薇。
雨の夜、立ち入りを禁じられた温室で出会ったふたりは、やがて花冠の契りを結ぶ。
それは祝福のはずだった。
けれど、ほどける日が来ると定められた花冠は、ふたりの名前と秘密と初恋を、静かに縛っていく。
本名を呼ぶことさえ禁じられた学院で、ただ一人だけが、その名を呼んだ。
これは、ほどけるはずだった花冠が、永遠になってしまうまでの物語。