あらすじ
風の神託を授かり、わずか十六歳にして王国最強の戦姫と称えられる少女、レンジア・ダグラス・ヴァンベール。
彼女は王国のため、そして養父である大貴族リィン・ダグラス・ヴァンベールに認められるため、幾多の戦場を駆け抜けてきた。
「領土拡大こそ正義。それ以外は小事」
そう教えられ、疑うことなく剣を振るってきたレンジアだったが、凱旋パレードの最中、一人の少年から強烈な憎悪を向けられる。
少年を追って足を踏み入れた先にあったのは、戦争と貧困によって切り捨てられた者たちが暮らす、王国の“光の届かぬ世界”だった。
「何人死んでるか知ってんのかよ」
少年の言葉は、戦姫として生きてきたレンジアの価値観を大きく揺るがしていく。
国のためか。家のためか。それとも――自分自身のためか。
これは、戦うことしか知らなかった一人の少女が、誰かの痛みに触れながら、本当の笑顔と生きる意味を見つけていく物語。