あらすじ
「ルーク団長。生きて、帰ってきてください」
白い結婚で夫に捨てられ、いまは辺境の領主代行となったノエル。
例年の三倍を超える魔物の群れが北の砦へ押し寄せ、ノエルは愛する騎士団長ルークを、自らの命令で戦場へ送り出す。
軍務監ヴェルナーは、兵を足してでも砦を死守すべきだと主張する。
だがノエルが守ろうとしたのは、砦ではなく、そこで暮らす領民と、砦を守る兵たちだった。
補給路が崩れた夜、ノエルは退却を命じる。
帰る道に食料と薬を置き、負傷者の寝床を整え、最後の後衛が戻るまで、門を開けて待つと決めた。
「門を閉じる準備を」
「まだです。――全員、帰します」
一度は置き去りにされた女が、今度は自分の手で帰る道を守り抜き、辺境の領主となる。