あらすじ
魔力を光と熱へ変える霊晶と、灰色の災厄〈灰蝕〉を防ぐ巨大結界〈聖環〉によって栄える、ヴァルトグレイズ王国。
公爵令嬢リゼリア・ノワールヴェインの日常は、父アルベルトが「地図と戸籍から消された村」を発見したことで一変する。
王国と教会の不正を告発しようとした父は反逆者に仕立てられ、リゼリアもまた連座によって処刑を宣告された。
処刑前夜。
王都地下を流れる古代の霊脈〈黒脈〉に触れた彼女は、血と記憶を魔札へ変える禁忌の力《ブラッドアルカナ》を覚醒させ、ただ一人生き延びる。�
03_第0章+本編+完結後外伝_完全統合最終版.txt
それから三年。
祖国へ戻ったリゼリアが追うのは、秘密計画〈白冠〉によって存在を消された人々の名を記す帳簿――〈無名簿〉。
港町の闇競売を発端に、彼女は穏やかな言葉で偽善を断つ聖盾審問官シュテル、軽薄に笑いながら契約だけは裏切らない銃使いカルマと出会う。
三人が挑むのは、腐敗した一人の悪人ではない。
王家、教会、貴族、官僚、そして沈黙した民衆までもが支えてきた、犠牲を「必要だった」と処理する王国そのものだった。
父の冤罪を晴らすため。
消された者たちの名前を取り戻すため。
そして、自分たちの正しささえ記録と審理へ差し出す国を作るため。
黒薔薇の復讐は、やがて王国の歴史を書き換える戦いへ変わっていく。