あらすじ

結婚三年目の夜、夫は私に告げた。 「君を愛していない。離縁してくれ」 その言葉を最後まで聞くたび、低い鐘が鳴り、私は夕食前へ巻き戻る。 泣いても、怒っても、屋敷を出ても、家計簿を突きつけても、公証人を呼んでも、最後には必ず同じ言葉を聞かされる。 夫は、私を冷たい妻だと言う。 伯爵夫人なら夫を信じ、家計簿など見ず、黙って支えるべきだと言う。 けれど私は三年間、白い結婚の妻として、屋敷の修繕費も、使用人の給金も、領地の借入金も、全部帳簿で支えてきた。 百回目。 古い家計簿の埃で夫がくしゃみをし、「愛していな……」で言葉が止まった。 その瞬間、いつもの鐘は鳴らなかった。 そこでようやく気づいた。 私は離縁されたから巻き戻るのではない。 「愛していない」と最後まで聞かされたから、巻き戻っていたのだ。 百一回目。 私は夫が口を開く前に、署名済みの離縁届と家計簿を差し出す。 これは、愛されない妻の役目を降りた私が、屋敷も帳簿も自分の人生も取り戻す話。

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小説を読もう2026/07/12
  • 現在の作品101回目の離縁――「愛していない」と言い切られたら巻き戻るので、今度は離縁届を先に出します