あらすじ
その図書館は、人生に迷った夜にだけ、扉を開く。リストラを告げられた夜、亡き妻の命日——製本職人・沢渡直人、四十五歳が彷徨い着いた高架下の路地に、見知らぬ灯りがともっていた。終章図書館。そこには、すべての人の人生が「本」になって眠っている。自分の本だけがなぜか最終章を読めず、しかも覚えのない栞が三枚挟まっていた。誰が、私の人生を読んだのか。忘れていた同級生の本、庇った部下の本、亡き妻の本——頁をめくるたび、「誰の役にも立たなかった人生」が静かに書き換えられていく。泣いて、驚いて、最後に前を向ける一夜の物語。