あらすじ
高校二年の春、蓮雀寺すみれは、他人の感情を"声"のように拾うようになった。
笑顔の奥に沈む疲れ。言葉にならない苛立ち。誰にも向けられない寂しさ。
聞こうとしなくても流れ込んでくるそれらに傷つき、すみれは人と深く関わることを避けていく。
大学で出会った白鳥奈々子は、神社と御朱印、各地に残る伝承を愛する静かな先輩だった。不思議なことに、奈々子の感情は、凪いだ水面のように静かだった。
奈々子と訪れた神社で、すみれは久しぶりに心から息をつける場所を知る。
やがて、明るく世話焼きなほのか、謎めいた星乃たちとの出会いをきっかけに、すみれの世界は少しずつ広がっていく。
神社、御朱印、土地に残る伝承。
仲間たちと重ねていく、旅の時間。
そして、胸元の勾玉に秘められた謎。
これは、人とのつながりを怖れていた彼女が、さまざまな土地を巡りながら、それぞれの"縁"と向き合っていく物語。