あらすじ

十歳の夜、俺は祖父を死なせた。  「楽にしてやりたい」——長い病に苦しむ祖父を前に、幼い俺は、見よう見まねの一族の力を使ってしまった。結果は、慈悲なんかじゃなかった。あの夜から、俺の掌は二度とまともに力を灯せない。  母は消えた。「里で修行してくる」と言い残したまま、何年も。  そして今、街には「死こそ救い」と説く教団が迫っている。老いも、病も、弱さも、早く"終わりにする”ことが慈悲なのだと——かつての俺と、同じ理屈を掲げて。  消えた母の謎。使えない力。口に出せない罪。  森から来た静かな娘との出会いをきっかけに、俺は旅に出る。その先に待っていたのは、世界の始まりに眠る神話と、教団の頂点に立つ者が隠し続けた、深い喪失だった。  これは、罪を背負った少年が、悲しみの意味を知るまでの物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/07/11
  • 現在の作品夜を弔う者〜死を看取る一族の落ちこぼれ、消えた母の謎を追い、世界の理に触れる〜