あらすじ
七年続いた戦争を終わらせるため、隣国の王との婚姻を自ら選んだ王女リュシア。半年の和平交渉を重ね、ようやく迎えた婚礼の日。誓いの口づけまであと指一本という瞬間、春を告げる鐘が鳴る。
雪色だった花婿の髪は若葉色を帯び、冬の青い瞳は春の緑へ変わった。
「あなたは、誰だ」
この国の王には、春夏秋冬を司る四つの守護魂が宿る。季節が巡るたび、容姿も性格も統治思想も変わり、別の季節の記憶は夢の断片しか残らない。冬の王が選んだ花嫁を、春の王は知らなかった。
それでもリュシアは婚姻を押し通さない。
「では、婚礼を止めましょう。あなたの同意がない誓いに、和平を預けるつもりはありません」
その一言から、春の王との二度目の出会いが始まる。夏の王は彼女を仇国の娘と憎み、秋の王は国のために離縁を選び、冬の王だけが彼女との約束を覚えている。
四人を愛するのか。それとも、四つに分かたれた一人を愛するのか。王宮に隠された「第五季」をめぐり、四度の信頼と恋が一つの誓いへ重なる宮廷ロマンスファンタジー。