あらすじ

夜明けの市場の喧噪の中、ギルド本部で二十六枚目の依頼報告に目を通す査定主任のリーゼル。 元Bランク斥候であり、怪我で引退した彼女は「正しく計る」ことだけを己の贖いとして生きてきた。 そんな彼女の目が、年度監査の統計表で異様な数値に留まる。辺境ハルデンの治癒薬品質が、二十六年間一度も欠かさず王都平均を上回り続けているというのだ。 その薬草を納入しているのは、Fランク滞留最長記録を持つ男、ヴェント。 筆跡の老いない台帳、署名の代わりに挟まれた一枚の葉。 虚偽申告を疑い、現地へと飛んだリーゼルを待っていたのは、魔力も加護もない、極めて普通の薬草だった。 だが、男の足取りと、一太刀の切り口、そして頭の中の暦に隠された、驚くべき「職人の誠実」の輪郭がそこにはあった。数字の裏に流れる人間の呼吸を追う、不器用な二人の静かなる監査物語が、今幕を開ける。

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小説を読もう2026/07/12
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