あらすじ
内視鏡室の明かりは、この病院の常夜灯だ。夜がどれだけ更けても、消えることがない。そこにはいつも、人の気配がある。
時間の感覚は、とっくに狂っている。それを誰も不幸だとは思っていない。
むしろ、どこかで面白がっている。
「人のため」と言いながら、目的はいつも少しだけずれている。
自分のため、面白いから、止まれないから。
そしてそのズレは、もうとっくに、当たり前になってしまった。
スクラブ姿の「平熱の狂人たち」を、一段引いた目で観察する連作短編。
指導医、専攻医、看護師、技師――主役は、話によって移り変わる。
熱く滾る夜もあれば、静かに軋む昼もあり、ときに、ひどく醒めた話もある。
その振れ幅そのものが、この物語の体温だ。
医療者による、医療者のためのリアル。
そして願わくば――この奇妙な愛おしさが、外の世界のあなたにも、少しだけ届くといい。