あらすじ
宮瀬航平は、都内の小さな書店で働く平凡な青年。
本に囲まれた静かな毎日を送りながら、派手な夢も、大きな野心もなく、ただ穏やかに生きていた。
そんなある雨の日、閉店間際の書店にひとりの女性が訪れる。
黒いコートに帽子、顔を隠すようなマスク。
どこか疲れた様子で本を選ぶ彼女の声を聞いた瞬間、航平は気づいてしまう。
彼女は、毎晩テレビでニュースを伝える国民的ニュースキャスター、白石莉央だった。
世間から絶大な信頼を寄せられ、冷静で、知的で、誰よりも正しくあることを求められる存在。
しかし、航平の前にいる彼女は、テレビの中の完璧なキャスターではなく、ただ静かな場所を求めて書店に逃げ込んできた一人の女性だった。
航平は彼女の正体に気づきながらも、騒がず、特別扱いもせず、ただ一人の客として接する。
その優しさに救われた莉央は、少しずつ航平に心を開いていく。
閉店後の短い会話。
深夜に交わすメッセージ。
人目を避けながらの小さな逢瀬。
国民的ニュースキャスターと、普通の書店員。
住む世界の違う二人は、誰にも知られないまま静かに恋に落ちていく。
しかし、莉央は世間の信頼を背負う存在だった。
恋愛ひとつで番組に影響が出るかもしれない。
些細な噂が、彼女の築き上げてきた信頼を揺るがすかもしれない。
そして航平もまた、自分が彼女の人生の重荷になっているのではないかと悩み始める。
会いたいのに会えない。
好きなのに近づけない。
守りたいからこそ、距離を置かなければならない。
仕事と恋。
信頼と本音。
世間の目と、二人だけの温もり。
これは、国民的ニュースキャスターとして生きる女性と、彼女をただの一人の人間として受け止める書店員の青年が、秘密の恋の中で本当の居場所を見つけていく、静かで切ない極秘交際ラブストーリー。