あらすじ
「お前との婚約を破棄する。毒を盛るような女は不要だ」
夜会の中央、婚約者である第二王子ルクレールにそう告げられた瞬間、シャルロットは前世の記憶を取り戻した。日本で誰かのために甘さを作り続け、報われぬまま過労死した飴細工職人の記憶を──。
証拠として掲げられた琥珀色のキャンディ。それは体の弱い王子のために、彼女が毎晩こっそり作っていた解毒の飴だった。命綱を「毒」と罵られ、彼女は静かに微笑む。
「かしこまりました。婚約は破棄していただいて結構です。……その『毒』がなくなった後、殿下がどうなるか、ゆっくり拝見させていただきますわ」
侯爵令嬢の肩書きを捨て、忠義の侍女アネットとともに向かったのは冒険者ギルド。そこで判明した彼女のギフトは、規格外の【調薬S+】。前世の飴細工技術と魔力を掛け合わせた「魔力回復キャンディ」は、上級ポーションを凌駕する伝説の一品だった。
「ズレている」と笑われた才能を武器に、独立し工房を構えた彼女の前に現れたのは、金色の竜眼を持つ竜人将軍ジークヴァルド。彼はその甘さに魅せられ、やがて──。
「その唇の禁断のキャンディ、俺だけのものにしていいか」
甘さを踏みにじられ続けた令嬢が掴む、本物の居場所。そして苦い薬は、あの殿下にどうぞ。
短編完結・ざまぁあり。愛する人と分かち合う甘さの物語、開幕です。