あらすじ

註 この物語は脱獄です。 じっさいの脱獄とはかけ離れた脱獄ですので、ぜったいに真似しないでください。真似をした場合は責任をとって、自首して牢屋に入ってください。牢屋に入っても、真似の真似をして脱獄しようだなんて考えないでください。 脱獄はいけないことです。 なにがどういけないかというと、たとえばあなたに、あなたにはもったいないくらいの恋人がいたとして、その人がある日、あなたの大好物の羊かんをこっそりつまみぐいしたせいであなたに通報され、窃盗の罪で捕まってしまう。刑務所に面会に行くと、恋人は脱獄を考えていることをあなたに伝えてくる。なんなら手伝ってほしいとまで言ってくる。 どうですか? まぁ、あなたの意見はどうでもいいですが、たぶん人の物を盗んでおいて脱獄だなんて、虫がよすぎる。もうほんとうに許さない、きっとあなたはそう思います。思わなくっても思ってください。でないと話がまえに進みません。話したいのに、そんな思った思わないで話が進まないなんて許せないので。 わかりますか、要は脱獄とはこの恋人を許せない気持ちと、話の腰を折られて許せない気持ちとを合わせて足して二で割ったくらいいけないことです。 二度目ですが、ぜったい脱獄しないでください。振りではありません。という振りでもありません。ぜんぶウソで、フィクションです。 なので脱獄したい気持ちをぐっとこらえ、オブラートに包んで捨てて、実在の人物、団体、法律、世界、年収、保険、年金、政治、モラル、倫理、職業、将来への不安と希望、聴覚、視覚、痛覚、味覚などとはいっさい切り離された現代風の別天地としてバカになってご覧ください。

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カクヨム
カクヨム2026/07/11
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