あらすじ
【読者の皆様へ推奨】
本作は、『クリミアの堕天使』と『ロキの花弁』の二つの世界線が交差するクロスオーバー作品です。物語の根底に流れるテーマや、主人公が背負う過酷な宿命、そして裏で糸を引く巨大な力の正体をより深く味わっていただくため、あらかじめこの二作品を読了された後にお読みいただくことを推奨いたします。
【あらすじ】
クリミアの泥濘で数多の命を死淵から引きずり戻した若き女医、ソフィア。
戦後、霧の街ロンドンのスラムで密かに弱き者たちの命を救い続けていた彼女は、ある逃亡奴隷との出会いをきっかけに、海を越えて新大陸・アメリカへと渡る決意をする。
そこは、北部と南部が国家を二分して殺し合う「南北戦争」の真っ只中だった。
人体を粉砕する新たな殺人兵器が登場し、野戦病院はかつてのクリミアを凌ぐほどの凄惨な地獄と化していた。さらにソフィアを待ち受けていたのは、人間の命を「資本」や「物」として扱う、奴隷制と人種差別という高く見えない壁だった。
終わりの見えない殺戮の裏側には、兵器を売り捌き、意図的に戦争を長引かせて莫大な富を搾取しようとする「巨大な闇の力」が暗躍していた。命を単なる数字や消費財としてすり潰し、世界を絶望で支配しようとするその冷酷なシステムを前に、ソフィアはかつての戦友から受け継いだ黒い外套を翻し、再びメスを握る。
国家の大義と、血も涙もない資本の論理が交錯する新大陸で、彼女は理不尽な死から人々を救い出すことができるのか。彼女の「命を決して見捨てない」という揺るぎない信念は、やがて一人の偉大な大統領の心を動かし、歴史の歯車を大きく回していくことになる。
命の尊厳を懸けた、名もなき堕天使の新たな死闘が幕を開ける。