あらすじ
サキュバスの血を濃く継いだ十六歳のエレノアは、人を魅了してしまうため、海辺の屋敷で人目を避けて暮らしていた。
声や眼差しだけでなく、強い想いを込めた文字にも魅了が宿る。そのため彼女は、恋文を書くことさえ禁じられている。
それでも恋愛に憧れたエレノアは、名前も居場所も記さず、直接的な愛の言葉を避けた「まだ見ぬ誰か」への恋文を瓶に詰め、海へ流してしまう。
誰にも届かないはずだった一通の手紙は港町で拾われ、やがて多くの人々が差出人を捜し始める。
愛しているから探す者たちの中で、ただ一人だけ、少女が記した「どうか、私を探さないでください」という願いを守る者がいた。
これは、愛される力を持つために恋を禁じられた少女が、愛情と執着の違いを知り、自分の意思で誰かへ歩み寄るまでの物語。