あらすじ

どの分岐点でも安全な道を選んで生きてきた大学四年・篠宮律は、深夜の帰り道で目撃する。会社員が、自分と同じ顔の男に襲われる瞬間を。誰もが獣の咆哮と聞くその声が、律にだけは、言葉として届いていた——「返せ」と。 人が後戻りできない選択をした瞬間、選ばれなかった方の自分が剥がれ落ちる。大半は数日で霧散するが、本体が後悔し続けた個体だけは消えずに育つ。通称・オミット。それを密かに狩り続ける国の非公開機関「選外者回収局」に、律は数十年ぶりの最上級感応者として徴用される。 最年少執行官の少女・箱崎玲と組んだ律が出会うのは、夢を捨てた側の自分に舞台袖から祝福されるピアニスト。我が子の窓辺に夜ごと通い、声を潜めて子守唄を歌う「夜のママ」。そして、人生の全部を悔いた老人から生まれた、複数の人生が絡み合う特級個体——。 選ばれなかった人生たちと出会うたび、律は問われていく。彼らは、斬るしかないのか。彼らの声を聞いてしまう自分は、何なのか。

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カクヨム
カクヨム2026/07/11
  • 現在の作品オミット