あらすじ
深夜の創作コミュニティで、孤独に耐えられず弱音を吐いた大学生の青年は、明るく人懐っこい女子大学生・真白と出会う。
真白はいつでも優しかった。返信が来ないだけで不安になる彼の話を聞き、眠れない夜には通話に付き合い、「君のこと、好きだよ」「君みたいな人がタイプかも」と、まっすぐな好意を惜しみなく伝えてくれた。
やがて二人は現実でも会うようになる。
黒縁眼鏡に外跳ねの黒髪ボブ。犬のように距離が近く、腕を組み、手を握り、頭を撫でてくる真白に、青年はますます惹かれていく。彼女だけが自分を理解してくれる。いつか友達ではなく、恋人として好きになってくれるかもしれない。そう信じながら、彼は少しずつ彼女なしではいられなくなっていった。
けれど真白にとって、彼の泣き声も、嫉妬も、怒りも、吐くほどの絶望も、すべて小説を書くための資料にすぎなかった。
彼が優しさを受け取る代わりに、彼女は壊れていく人間の感情を観察する。
本人に知らされることのない、一方的な取引だった。
そして必要な材料を集め終えたとき、真白は笑顔のまま彼を切り捨てる。
「僕って、何だった?」
最後の問いに返されたのは、彼が信じていたすべてを否定する、たった一つの答えだった。