あらすじ
【隔離区域侵入記録:音声ログ No.017】
『こちら探索部隊α。現在、第三区画へ侵入』
『……f……kd……』
『……静かすぎる』
『ファ……キキキジ……djsp』
『住民は確認。生存環境も想定以上に良好』
『お……k……さーん』
『ですが――』
『こ……んにち……わあアアアジウhd』
(ノイズ)
『生命体を確認』
『こんにちは』
(何かから逃走中の隊員)
『あれは普通ではない、生物学的にも説明できません』
『救助を要請する……頼むッ、誰……か』
『こんにちは』
『隊員一名が"母親の声が聞こえる"と発言。現在、所在不明』
『おーい』
『……繰り返します』
『おおおおおおおおおおおおおおいいいいいい』
『隔離区域では、"聞こえた声"に返事をしてはいけません』
記録終了。
第17回隔離区域調査、行方不明者12名、帰還者1名。
【当該区域への再調査は承認された】
百年前。
世界各地に現れた《恐怖》は、人類から故郷を奪った。
人類は抗うことを諦め、都市ごと壁で閉ざした。
それが──隔離区域。
百年前に封鎖されたその内部では、外とは全く違う世界が構築されていった。
内と外、互いに知らないフリをして生きてきた。
隔離区域内で生まれ育った少年・ユウもまた、
「外は地獄だ」
と教えられ、それを疑うことなく生きてきた。
そんなある日一人の少女と出会い、止まっていた時計の針が動き出すまでは。