あらすじ
《あなたはボクの神様です》
――たった一言のコメントが、深海に沈んでいた私の世界を変えた。
21歳の冬、職を失った私は、現実逃避のようにボカロ曲を作り始めた。
才能はなく、作る曲は見向きもされない日々。しかしそんなある日、ネットの片隅で、熱狂的に私を肯定してくれる唯一の信者「SUDACHI」と出会う。
彼女のひたむきな布教が実を結び、Tiktokでの一瞬のバズ、鳴り止まない通知。
私は「有名ボカロPになれる」という蜃気楼の夢を見た。
しかし、ネット創作の世界は甘くなかった。
パクリ疑惑による炎上、無断転載、そして何より、残酷なまでに伸びなくなる数字――。
精神をすり減らした私は、ある日、自分の曲も、アカウントも、彼女のくれた言葉も、すべてを消してネットの海から逃げ出した。
これは、夢に破れ、ボカロPになれなかった青年が自室の隅で綴る、もう届かない一人の少女への、懺悔と感謝の手紙。
ネット創作の眩しさと残酷さをリアルに描く、痛切で、けれどどこか温かい、大人のためのボカロ文学。