あらすじ
【あらすじ】
江戸の片隅、源八長屋で育った凜は、
瓦版(読売)を売り歩く若い娘だ。
市井の声を拾い、真実を伝えることを胸に刻み、
今日も江戸の町を駆け回っている。
長屋には、祖父の源八をはじめ、
貧乏浪人の重五郎、薬売りの為三と女房のお吉、
読売屋に奉公する青年・勘など、
人情に厚い面々が暮らしている。
彼らは皆、凜を家族のように見守り、
時に叱り、時に支えながら、
江戸の片隅で静かな暮らしを営んでいた。
しかし近頃、町では妙な事件が絶えない。
押込みに火付け盗賊、残虐非道な盗賊一味が出現し、
その裏で手を引く悪行三昧の大物らの影がにじむ。
読売を売り歩くうちに、
凜はその“影の断片”をいくつも拾い集める。
最初はただの町の事件だと思っていたが、
やがてそれらが一本の線でつながり始める。
まるで誰かが、凜の前に
「真実への道しるべ」を置いているかのように。
気づかぬまま、
長屋の大人たちの影に守られながら、
凜は江戸の闇へと一歩ずつ踏み込んでいく。
読売娘としての仕事が、
いつしか江戸の町を揺るがす大きな渦へと
凜を導いていくのだった。 【登場人物】
■ お凜(主人公)
江戸の町で瓦版(読売)を売る若い娘。
「真実を伝えること」を胸に刻み、市井の声を拾い歩く。
源八長屋で育ち、人情に囲まれながら成長していく。
■ 源八(げんぱち)
長屋のまとめ役であり、住人たちから頼りにされる存在。
凜の祖父として、厳しくも温かく見守る。
■ 重五郎(じゅうごろう)
長屋に住む貧乏浪人。
用心棒や笠張などの内職で生計を立てながら、
何かと長屋の住人を助ける気のいい男。
■ 為三(ためぞう)
薬売りの行商として長屋に出入りする男。
旅人や町の噂に詳しく、何かと頼りになる。
■ お吉(おきち)
為三の女房で気のいい若奥さん。
長屋の女たちの相談役であり、凜の髪を結う“姉”のような存在。
■ 勘(かん)
読売屋に奉公する青年で、凜の相棒。
下総から江戸へ出てきて、源八長屋で暮らしている。
気は優しく、行動力があり、凜にとっては兄のように頼りになる存在。
■ おまさ(おまさばぁちゃん)
長屋の生き字引。
江戸の知恵袋として若い者たちを見守る。
■ てつ(てっつぁん)
おまさの息子。
気は荒いが情に厚い。
■ 大工のしげさん/おきぬ/安吉/みよ
長屋の暮らしを支える家族。
しげさんは腕利きの大工。
おきぬは女たちのまとめ役。
安吉とみよはお凜に懐く子どもたち。
■ 髪結いの長治(ちょうじ)
色男で女にだらしないが、腕は確か。
町の噂にも詳しい。
■ 佐助(飾り職人)
新しく長屋に越してきた職人。
■ おはる
茶屋勤めの人気者。
人当たりが良く、長屋の若者たちにも慕われている。
■ 銀次親分(目明し)
町の治安を預かる目明し。
凜や勘とも顔なじみの頼れる存在。
■ 権左(ごんざ)
読売屋の主。
瓦版の仕入れや編集を担い、凜と勘を見守る。
■ 黒田玄斎(前奉行)
かつて江戸を治めていた前奉行。
■ 田上典膳/田上典久
大身旗本の親子。
■ 阿部忠清(側用人)
幕府に仕える側用人。
江戸の政治の流れに関わる人物。