あらすじ
この物語は、土の向こうに民の暮らしを見つめ続けた令嬢が、真の理解者と共に、見捨てられた荒れ地へ希望を芽吹かせるまでのお話。
「泥遊びに時を費やす婚約者」と蔑まれ、皇子から婚約破棄を言い渡された公爵令嬢ローザリア・アグリコーラ。
傷ついた彼女を支えたのは、田舎子爵家の次男ブルーム・ザルツでした。
皇子が汚れたものとして笑った土を、ブルームは「疲れている」と労わります。
彼の誠実な言葉に背中を押されたローザリアは、領地に広がる「呪われた白い湖」と呼ばれる塩害地の再生に乗り出しました。
そこにあるのは、厄介者の豆草と、痩せ細った小麦。
二人はそれらと白い湖の塩を使い、黒い調味液を作ろうと試みます。
腐敗、失敗、領民たちの不信。
それでもローザリアは、泥にまみれながら記録する手を止めません。
失敗したから終わりではない。
やり方を変えて、もう一度手を入れればいい。
泥遊びと笑われた令嬢が、自らの未来と領地の希望を耕していく物語。
記すのは、わたくし、ラトゥナ・ケートでございます。