あらすじ
卒業式の日、雨は朝からやむ気がなかった。
水瀬史乃は、三年間胸にしまってきた片想いを、今日も言えないまま教室にいた。
相手は、同じクラスの榊くん。
何でもない会話。
ノートを貸した日。
雨の放課後に、同じ窓の外を見ていた時間。
クラス写真の中で、肩が触れそうで触れなかった距離。
特別ではない。
けれど、何でもないとも言い切れない。
そんな曖昧な関係のまま、卒業式の日は過ぎていく。
四月から、榊くんは東京へ行く。
もう明日から、同じ教室で「おはよう」と言える日は来ない。
雨の帰り道、史乃は榊くんと駅まで並んで歩く。
言えるかもしれなかった言葉。
言えないまま終わっていく三年間。
これは、告白できなかった片想いと、卒業の日の雨を描いた短編恋愛小説。